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最新がんトピックス

2012年02月号のトピックス

一般社団法人 日本癌医療翻訳アソシエイツ(JAMT for Cancer)〜がん医療の向上を目ざす有志の翻訳グループ〜
Japan Association of Medical Translation for Cancer
HP:『海外癌医療情報リファレンス』
(2012年02月号)

放射線照射量が足りていない!?早期前立腺がん治療

大阪大学などの調査で、早期前立腺がん患者の半数が、根治に必要な放射線量を照射されていないことが判明した。また、規模の小さい医療機関ほど、その傾向が強いこともわかった。

早期の前立腺がんを治すには、70ミリシーベルト以上の高い放射線量が必要である。そのため、患者は直腸粘膜の出血をはじめ、重い副作用に悩まされることがあり、専門医には、高いレベルの技術が問われている。

大阪大学教授の手島昭樹さんが率いる研究チームは、2003年から2005年にかけて、全国のがんセンター、大学病院、それ以外の国公立病院を病院規模で各々2つの集団に分けて、病院と患者を無作為に抜き出して照射線量を調査した。

およそ400人の患者を抽出し、患者が受ける放射線の照射量の全国的な傾向を推定したところ、患者が受けた放射線の平均照射量は68シーベルトと、半分以上の患者が、必要な量の照射を受けていないことが判明した。小規模の医療機関ほど、照射不足の傾向が強く、専門医不足がその一因と考えられている。

(朝日新聞:2011年11月26日)

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東京大学ががん細胞を発光させる世界初のスプレー開発

東京大学大学院医学系研究科生体情報学分野教授の浦野泰照さんと、NIH(米国国立衛生研究所)研究員の小林久隆さんは、がんが疑われる部分に直接スプレーするだけで、1分後にはがん細胞が蛍光を発する、世界初の技術を生み出した。

がん診断のために、MRI検査、PET検診、X線、CT検査はじめ、現在多くの検査法が用いられている。しかし、これらの検査法では、1センチくらいの大きさのがんを検出するのが限度で、ミリ単位のがんを見つけだすことは非常に難しい。原発巣や、転移した微小がんを全て取り除くことができるかで、患者の予後は全く変わる。そのためにも、取り除く必要があるがん部位を正確に検出する技術が求められてきた。

2009年、浦野さんと小林さんらは、がん抗体を利用し、微小がんを特異的に蛍光する技術を開発。しかし、当時は動物の体内に投与しても、がん部位が発光するまでに数時間以上の長い時間がかかること、また、発光したとしても、蛍光自体が弱く、特殊な装置を使用しないと、がんを検出することが困難であるという問題点があった。

しかし、今回の新技術では、がんの部位に「有機小分子蛍光プローブ」という蛍光色素をごく少量スプレーするだけで、強い蛍光を発する。

新技術開発にあたって、浦野さんと小林さんらは、がんの部位を見分けるために、がん細胞が持つGGT()という酵素に注目した。この酵素は、肺がんをはじめ、肝臓がん、乳がん、脳腫瘍、卵巣がん、子宮頸がんなどの多くのがん組織で、その酵素活性が増強しているといわれる。そしてこのGGTの酵素活性を緑色の蛍光として検出する世界初の試薬を、浦野さんが開発。がん部分だけを選択的に光らせる技術の開発に成功した。

今回の研究成果は、外科手術や、内視鏡・腹腔鏡下手術において、微小がんの検出や取り残しを防ぐ方法として、臨床応用への期待が非常に大きい。

また、低価格で入手可能な蛍光検出機器は、多数の医療機関へと広がる可能性があり、今回の新技術は医療経済の視点からも重要な成果と考えられる。

一方、今回着目したGGTという酵素を発現していないがん種も存在するため(大腸がん、卵巣がん、胃がんの一部)、現在このような組織の可視化を実現するため、新たな試薬の開発も行っており、将来は、ほとんどのがん種の微小がんを、素早く発見できるようになるものと期待されている。

(毎日新聞:2011年11月24日)

GGT=r-グルタミルトランスぺプチターゼ

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がんに肥満は大敵!!

肥満は、閉経後乳がん、子宮体がん、大腸がん、食道がん、胆嚢がん、腎がん、膵がん、甲状腺がんなど、多くのがん種のリスク増大に関係している。子宮体がんと食道がんの全症例の3分の1、腎がんの4分の1に肥満が影響していると推計した。例えば、それぞれのがん種で肥満を原因とする割合の推計値をみると、子宮体がんでは39パーセント、食道がんでは37パーセント、腎がんでは25パーセント、大腸がんでは11パーセント、閉経後乳がんでは9パーセントである。肥満はがんによる死亡リスクも引き上げており、米国では、がん死全体で男性14パーセント、女性20パーセントに過剰な体重が影響していると推計される。

どうして、体脂肪過剰ががんリスクの増大につながるのだろうか。脂肪組織は、かつては単にエネルギー源貯蔵所だと思われていたが、今日では驚くほどたくさんのホルモン、成長因子、そしてシグナル分子など、体内の他の細胞に影響する物質を生み出すことがわかってきた。肥満とがんを仲介するとされる分子は、ほとんどが発がん物質ではなく、がん促進物質である。つまり、正常細胞をがん細胞に変えるのではなく、がん細胞の成長と増殖を促すのだ。

肥満からがんに至る過程の研究で、最先端のものの1つは、乳がんと子宮体がんを促進させるホルモンのエストロゲン()である。閉経後の女性において、通常、血液中のエストロゲン濃度は、卵巣におけるホルモンの産出がされなくなることにより激減する。しかしエストロゲンは、アロマターゼと呼ばれる酵素によって、脂肪組織でも産出され続ける。この過剰産出が、がん細胞の成長、増殖を促すため、アロマターゼ阻害剤によってアロマターゼの働きを阻害する。

エストロゲンだけではく、乳がんや大腸がん、膵がんなど多くのがん種に関連するとされる物質に、血流からグルコース(ブドウ糖)を取り込むのを助けるホルモン、インスリンがある。肥満は、2型糖尿病を併発することが多い。2型糖尿病は、体内の細胞がインスリンに反応しなくなるために血中のグルコースが増加し、その結果、体内でのインスリンの産生がさらに促進される。そしてある種のがんでは、インスリンは分裂促進物質として機能し、がんの増殖を早める。

興味深いことに、血中のグルコース濃度を下げるメトホルミンという糖尿病薬に、わずかな抗がん作用がみられた。メトホルミンを服用した糖尿病患者は、メトホルミンを服用しなかった糖尿病患者と比べ、発がんリスクやがん死亡リスクが低かった研究がいくつかあり、現在、乳がんなどでは、標準治療にメトホルミンを追加する臨床試験が進行中である。

とはいえ、インスリン濃度を下げる他の糖尿病薬が、メトホルミンのような抗がん作用を示すわけではない。これは、メトホルミンが、単にインスリンの経路だけに影響しているのではない可能性を示す。

他にも無数の分子について、肥満とがんに関わるかどうかを探る研究が実施されている。それらの分子のなかには、たとえば、ある種の身体の自然な炎症反応に関わるたんぱく質などもあり、肥満の人では慢性的に過剰なことが多い。他には脂肪組織が放出するたんぱく質であるアディポカインというシグナル分子があり、その濃度は体重増加の影響を受ける。

現在NCI(アメリカ国立がん研究所)のがん疫学・遺伝学部門の研究者らは、肥満とがんリスクをつなぐ分子経路についてさまざまな研究を続けている。これらの研究が今後、分子現象の理解とともに、肥満患者へのがん予防法と治療法を作りだすと考えられる。ただ、現時点でわかっているのは、がんを予防するためには、肥満に気をつけた健康的な生活習慣を身につけることである。

(NCIキャンサーブレティン:11月15日)

エストロゲン=女性ホルモンの一種

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甲状腺髄様がんにはカボザンチニブが有効

国際共同第3相臨床試験により、カボザンチニブが進行性甲状腺髄様がんの進行を有意に抑えることが明らかになった。

甲状腺髄様がんは、甲状腺がん全体の約2〜3パーセントを占めており、一般的な甲状腺がんと比べて予後がやや悪い傾向にある。そして、全体の25パーセントが遺伝性であると考えられ、可能な場合には甲状腺切除術が行われる。しかし最近では、カボザンチニブといった新しい分子標的薬の開発によって、新たな治療法に関心が高まっている。

臨床試験には、がんが進行し、外科的に手術が難しい進行性甲状腺髄様がん患者が参加。患者は、カボザンチニブまたはプラセボ(偽薬)の投与を受けた。無増悪生存期間はカボザンチニブ群で11.2カ月、プラセボ群で4.0カ月で、カボザンチニブによりがんの進行抑制が認められた。しかし、カボザンチニブの全生存期間を評価するにはより長期の調査が必要だ。カボザンチニブは、腫瘍を増殖させる経路を標的とする新たな分子標的薬で、腫瘍抑制、骨転移、疼痛に顕著な効果が示されている。肝臓がん、前立腺がん、卵巣がん、乳がん、肺がん、膵がんなど多くのがん種で、有効性が検証されている。2011年ASCO(米国臨床腫瘍学会)総会では、カボザンチニブは、肝臓がんで76パーセント、前立腺がんで71パーセント、卵巣がんで58パーセントと腫瘍抑制効果が示され、骨転移、疼痛で良好な結果が報告されている。

(ウォールストリートジャーナル:10月24日)

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FDAが転移性乳がんに対するアバスチンの適応を取り消し

FDA(米国食品医薬品局)は乳がん治療において、アバスチン()の安全性と有効性が示されなかったとの判断を下し、この薬剤の乳がんへの適応を取り消すと発表した。乳がん以外の大腸がん、肺がん、腎臓がん、脳腫瘍(多形性膠芽腫)など、特定のがんの治療薬としては、今後も販売が続けられる。

FDA局長は、「今までの試験を再検討したところ、転移性乳がんの女性患者にアバスチンを服用したとき、致命的な副作用の危険にさらされる可能性があることがわかりました。また、アバスチンがその副作用を上回るような患者の延命やQOL(生活の質)改善効果のエビデンス(科学的根拠)もありません」と述べている。

アバスチンの副作用には、重い高血圧、出血、心臓発作や心不全、および胃、腸など体のさまざまな部位での穿せんこう孔などがある。

今回取り消すと発表されたアバスチンの適応は、HER2陰性の転移性乳がんで、化学療法未治療の患者を対象に、抗がん剤のタキソール()との併用投与として認められていたもの。この適応は、すぐにアバスチンの添付文書から削除する必要がある。

アバスチンは、2008年2月、転移性乳がんに対して、FDAの迅速承認プログラムにのっとって承認された。

その後の追加試験で、薬剤または薬剤の追加適応が患者にとって有用であると認められない場合、FDAはその承認を取り消すことができる。アバスチンは、腫瘍の増殖抑制、または患者の生存期間を有意に延長した1件の臨床試験結果に基づいて、迅速承認となった。

しかしその後、販売元のジェネンテック社がFDAに追加で提出した2件の臨床試験の結果から、腫瘍に対する効果はわずかであり、標準的な化学療法のみの場合と比べて、薬の服用による副作用を上回るような患者の延命やQOL改善のエビデンスはないことが示された。FDAは、本年前半からジェネンテック社に対して適応承認の取り消しを提案していたが応じられず、この度最終的な決定に至った。

FDAとしては、有効な抗がん剤をできるだけ早く患者のもとに提供したいと考えており、ジェネンテック社に対し、この薬の効果を得られる患者がいるかどうかを知るために、追加試験を検討するよう奨励している。

(FDAニュース:11月18日)

アバスチン=一般名ベバシズマブ
タキソール=一般名パクリタキセル

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