各種がん
女性のがん
女性のがんの治療 Q&A
- 絨毛がんの化学療法。副作用がつらいが続けるべきか。 (2010年01月号)
- 子宮筋腫の手術後にがん肉腫との診断。どんな治療法があるか (2010年01月号)
- 低悪性度の子宮内膜間質肉腫。手術で完治するか (2010年01月号)
- 子宮肉腫の疑い。手術に踏み切れず、しばらく様子を見たい (2010年01月号)
- 子宮内膜症や子宮筋腫ががんになることはあるか (2009年10月号)
- 子宮肉腫の疑い。開腹手術を勧められているが、針生検での診断は可能か (2009年01月号)
- 3年前に平滑筋肉腫の手術。今後もし再発したらどんな治療法があるのか (2009年01月号)
- 子宮肉腫の手術で卵巣、卵管、リンパ節の切除の必要は? (2009年01月号)
回答者:上坊敏子さん社会保険相模野病院
婦人科腫瘍センター長
回答者:関口勲さん栃木県立がんセンター
産婦人科第1病棟部長
Q:絨毛がんの化学療法。副作用がつらいが続けるべきか。
昨年12月に初めての妊娠で胞状奇胎と言われ、今年2月に胞状奇胎を取り除く手術を受けたところ、侵入奇胎の絨毛がんでした。CT検査の結果、肺転移が見つかり、化学療法としてメソトレキセート(一般名メトトレキサート)の投与を、5日間1クールとして計7クール受けました。幸い、HCG(*)は7月以降、ずっと正常値で、現在はCTでも肺転移の影が消えています。しかし、化学療法では、腹痛や口内炎、湿疹といった副作用に悩まされています。主治医から「念のため、12クール続けたい」と言われていますが、中断したり、休薬したりしないほうがいいでしょうか。また、治療後の再妊娠は可能でしょうか。
*HCG=ヒト絨毛性ゴナドトロピン。妊娠すると胎盤から分泌されるホルモンで、絨毛性腫瘍の細胞も産生するため、絨毛がんの腫瘍マーカーとして用いられる
(千葉県:女性38歳)
A:副作用に耐えられるなら、続けたほうがよい
妊娠すると、胎児に栄養や酸素を送るため、胎盤が形成されます。胎盤を構成する細胞が絨毛細胞で、この細胞の異常増殖が絨毛性腫瘍です。胞状奇胎とは、絨毛が増殖してブドウの房のような状態になるため、ブドウ子とも呼ばれますが、これが最も多く、ほとんどの方は子宮内腫瘍の掻爬(*)で治ります。胞状奇胎が子宮の筋層にまで浸潤しているものを侵入奇胎といい、子宮摘出術や抗がん剤治療が必要です。まれに絨毛ががん化した絨毛がんが発症しますが、薬物療法が奏効するため、一般に予後も比較的良好です。
ご質問の化学療法の回数については判断が難しいところですが、HCGが正常値となってから、2〜3クール追加するのが一般的と思われます。抗がん剤治療は、途中で間隔を空けることなく、最終まで継続することが理想的です。ただし、白血球や血小板減少、その他の副作用によって、やむを得ず間隔を空けることはあります。12クールの予定であれば、副作用が許容できるなら、連続して治療することが望ましいと思います。
再妊娠についてですが、絨毛性腫瘍の再発の検査は、主に尿中のHCGで行うので、妊娠によってHCGが増えた場合、絨毛性腫瘍の再発かどうかが判断できなくなるという問題が生じます。このため、抗がん剤治療で完治したと判断できる状態から、一定期間の避妊を勧められます。
通常は1〜2年の避妊が望ましいようですが、早く子供が欲しい場合などは、状況によっては半年程度の避妊後に妊娠を許可する場合もあるようです。
絨毛がんの治療に使うメソトレキセートやダクチノマイシン(一般名アクチノマイシンD)などの抗がん剤で排卵障害になり、不妊症になることはまずないと考えられます。
*掻爬=医療目的で子宮内膜の除去、あるいは組織の採取を行うこと
(2010年12月号 がん相談/子宮がん 回答者:関口勲さん 栃木県立がんセンター産婦人科第1病棟部長)
Q:子宮筋腫の手術後にがん肉腫との診断。どんな治療法があるか
子宮筋腫で、手術を受けました。
手術後の病理検査の結果、がん肉腫と診断されました。初めて聞く病名でした。同じような病名で、子宮肉腫という病名を聞いたことがあります。がん肉腫と子宮肉腫はどのような違いがあるのでしょうか。また、がん肉腫にはどんな治療法があるのでしょうか。
(愛媛県:女性56歳)
A:手術で完全切除。リンパ節を取り除く再手術を行うことも
体の表面を覆う扁平上皮とか腺上皮から発生するのががんで、上皮の下にある筋肉などから発生する悪性腫瘍が肉腫です。一般的にはがんと肉腫は一緒にはできませんが、がん肉腫というのはがんと肉腫が混在する悪性腫瘍で、稀な病気です。がん肉腫は、子宮や、胃、肺など、身体のどこにできてもおかしくないですが、他の場所に比べて、子宮にできることが多いようです。がん肉腫は、一般的には60〜70歳以上の高齢者にできる病気で、いろんなところに広がる悪性度の高い腫瘍です。
子宮の場合は、子宮の表面を覆っている腺上皮から発生する腺がんと筋肉から発生する肉腫とが混在する子宮がん肉腫が一般的です。
相談者のように、子宮筋腫の手術後に、病理検査で見つかることもありますが、手術前に診断されることもあります。外科的に完全切除できないと、治癒する可能性は大変低いと考えられています。子宮肉腫ならリンパ節転移はほとんどないため、再手術はしません。
ところが、子宮がん肉腫は、リンパ節転移もありますから、リンパ節を取り除く再手術を行うこともあります。再手術をするかしないかは、ケースバイケースです。
手術以外の治療としては、抗がん剤治療が一般的です。放射線治療はしません。抗がん剤治療の有効性はあまり高くはありません。
標準的な化学療法はまだ確立されていませんが、「イホマイド」(一般名イホスファミド)と「シスプラチン」(一般名)などを使用することが多いようです。効きにくいため、抗がん剤の量が多くなり、副作用も強くなりがちです。
臨床的に完全切除されたと考えられる方に、再発予防として補助化学療法をするべきかどうかは判断が大変難しいと思われます。
(2010年01月号 がん相談/子宮肉腫 回答者:関口勲さん 栃木県立がんセンター婦人科・第1病棟部長)
Q:低悪性度の子宮内膜間質肉腫。手術で完治するか
数カ月前に子宮筋腫で手術をしたところ、子宮内膜間質肉腫と言われました。悪性度は低いとのこと。私の受けた手術で完治すると考えてよいのでしょうか。再発することはあるのでしょうか。再発したときの有効な治療法についても、ご意見をお聞かせください。
(鹿児島県:女性48歳)
A:低悪性度の場合、完全切除されていれば、再発の可能性は低い
子宮肉腫には、子宮内膜間質肉腫、平滑筋肉腫、がん肉腫の3つがあります。子宮内膜間質肉腫は、子宮肉腫の中の10パーセントほどと数少ないです。子宮内膜間質肉腫は、低悪性度と高悪性度に分類されます。悪性度の低い子宮内膜間質肉腫の場合、肉眼的および病理組織学的に完全切除されているのであれば、化学療法の必要はなく、再発の可能性も低いと思われます。再発については、再発した部位や何カ所に再発したか、などによって、治療法は異なります。
定期的に通院し、経過観察をしたほうがよいと思います。
(2010年01月号 がん相談/子宮肉腫 回答者:関口勲さん 栃木県立がんセンター婦人科・第1病棟部長)
Q:子宮肉腫の疑い。手術に踏み切れず、しばらく様子を見たい
総合病院の検査で、「子宮筋腫です。子宮肉腫の疑いもあります」と言われました。腫瘍は大きくありませんが、手術を勧められています。手術を受ければ、子宮筋腫と子宮肉腫は治ると考えてよいのでしょうか。手術後の身体への影響や、仕事の関係などを考えると、なかなか手術には踏み切れません。
できれば、手術は回避して、しばらくの間、様子を見ようと思っています。
(宮城県:女性53歳)
A:筋腫の経時的な変化、血液やMRIなどから判断する
子宮の筋肉から発生する腫瘍には、子宮筋腫と子宮肉腫があります。子宮筋腫は良性で、肉腫は悪性です。子宮筋腫は、多発性のことが多く、卵巣から分泌されるエストロゲン(女性ホルモン)により増殖します。そのため、閉経に向かってだんだん大きくなり、閉経直前が1番大きくなります。卵巣機能が消失する閉経を過ぎると、子宮筋腫は縮小してくるのが一般的です。これに対して、子宮肉腫は、単発性のことが多く、10センチ以上と大きなものが多い傾向があります。エストロゲンとは関係なしに増殖あるいは転移しますから、閉経後も腫瘍が大きくなります。卵巣の機能を一時的に止める薬のLH-RHアナログ「リュープリン)(一般名リュープロレリン)「スプレキュア」(一般名ブセレリン酢酸塩)による治療をしても縮小せず、逆に増大する腫瘍は肉腫の可能性があります。
子宮筋腫も子宮肉腫も子宮の筋肉の中に発生する腫瘍なので、手術前の細胞診、組織診などでは診断できないことが一般的です。
子宮肉腫では血液検査でLDH(乳酸脱水素酵素)が異常高値を示すことがあり、1つの診断根拠になりますが、全例が異常値を示すわけではありません。子宮筋腫と子宮肉腫の鑑別にはMRI(核磁気共鳴映像法)検査が有用とされていますが、それでも完全な診断はできません。手術前には、良性か悪性かはわかりません。それが、「子宮肉腫の疑いもあります」という医師の言葉です。
一般的に、子宮筋腫が肉腫に変化することはないと考えられています。例えば、30〜40代で子宮筋腫が見つかって、閉経まで長期的に経過観察して、閉経を過ぎて腫瘍が小さくなれば、「もう大丈夫でしょう」となります。子宮肉腫の疑いが持たれたとしても、子宮筋腫の可能性が高いと思います。
ところが、相談者のように、突然、「子宮が大きい。子宮筋腫か肉腫かわからない」と言われた場合が問題となります。子宮筋腫の経時的な変化、とくに閉経との関連、あるいは血液検査所見、MRI所見などを参考にして子宮筋腫か肉腫かの臨床的判断をすることになります。もし、すぐに手術に踏み切れないのであれば、主治医と相談し、経過観察をすればよいと思います。その場合、最初は1〜3カ月おきに通院して経過観察をし、大きさや血液検査などに急激な変化がなければ、経過観察の期間を徐々に延長するとよいと思います。
手術前に子宮筋腫と診断されて、手術で摘出された子宮で、肉腫である頻度は米国のデータでは1パーセント以下と言われています。肉腫は大変稀な腫瘍ですが、肺や肝臓などへの血行性転移があるので、定期的な検査が必要です。
子宮肉腫に行われる単純子宮全摘術は、子宮を取るだけなので術後の後遺症はありません。入院期間は、10日から2週間。53歳であればそろそろ卵巣機能も消失するところなので、卵巣を摘出しても大きな問題はないと思います。
もし、卵巣を残したいというお気持ちが強いのであれば、主治医に、「開腹時に異常が認められなければ、卵巣を切除しないでほしい」とお伝えすればよいと思います。
(2010年01月号 がん相談/子宮肉腫 回答者:関口勲さん 栃木県立がんセンター婦人科・第1病棟部長)
Q:子宮内膜症や子宮筋腫ががんになることはあるか
子宮腺筋症などの子宮内膜症や子宮筋腫ががん化することはあるのでしょうか。あるとしたら、どれくらいの割合で起こるのでしょうか。ダグラス窩にできた子宮内膜症のがんのリスクについても教えてください。
(岡山県:女性36歳)
A:チョコレート嚢胞以外の悪性化は通常、心配する必要はない
子宮内膜症とは、子宮内腔以外の場所に子宮内膜に類似した組織が増殖する病気です。できる場所は「子宮内腔以外の場所」ですが、圧倒的に多いのは「卵巣内にできるチョコレート嚢胞」「子宮の筋肉層にできる子宮腺筋症」「ダグラス窩を含む骨盤の腹膜にできる骨盤子宮内膜症」の3つです。
このうちチョコレート嚢胞に関して、悪性化(がん化)する割合は0.72パーセントであるという報告があります。この0.72パーセントという割合が高いか低いかは考え方次第です。ただ、子宮内膜症の中では、悪性化する割合が最も高いといえます。
ダグラス窩にできた子宮内膜症ががんになることもないわけではありません。ただし、文献になるほど珍しいことですから、一般的なリスクとしては問題にする必要はないでしょう。子宮腺筋症が悪性化することもゼロではありませんが、極めて珍しいのが現状です。
子宮筋腫は子宮の筋肉から発生した良性の腫瘍です。子宮筋腫と子宮肉腫(子宮肉腫はがんの一種です)を判別するのは難しく、子宮筋腫と思って手術をしたら子宮肉腫だったということも珍しくはありません。反対に、子宮肉腫だと思って手術をしたら、子宮筋腫だったということもあります。ただ、子宮筋腫が子宮肉腫に変化することは一般的にはないだろうといわれています。
まとめると、子宮内膜症と子宮筋腫のがん化に関しては、チョコレート嚢胞以外は心配する必要はほとんどないでしょう。
(2009年10月号 がん相談/子宮・卵巣がん 回答者:上坊敏子さん 社会保険相模野病院婦人科腫瘍センター長)
Q:子宮肉腫の疑い。開腹手術を勧められているが、針生検での診断は可能か
近くの婦人科クリニック紹介先の病院で検査をしました。その結果、「子宮肉腫の疑いが否定できない」とのことで、開腹手術を勧められています。自分なりに集めた資料では、針生検で診断できると書いてありました。針生検で、正確な診断は可能なのでしょうか。
(滋賀県:54歳女性)
A:子宮肉腫は多発性が多く、針生検による診断は難しい。出血のリスクも
子宮肉腫は、子宮の筋肉から発生する悪性腫瘍です。良性腫瘍の子宮筋腫の手術後の病理組織検査で、1パーセント程度で子宮肉腫が発見されるといわれています。
子宮頸がんや子宮体がんなどは、子宮表面を被う上皮から発生するため、細胞診や組織診で術前の診断は可能ですが、子宮肉腫は、上皮の下や中にある筋肉から発生するため、術前の診断は困難です。
肉腫は、(1)増殖が速い(2)発見時に腫瘍が大きい(3)血中のLDH(乳酸脱水素酵素)が高い(4)MRI検査では腫瘍の境界が不明瞭で腫瘍の内部の不均一性が目立つ――などの特徴があります。しかしながら、血液検査や画像診断でも術前の正確な診断は不可能です。そして、一般的には、子宮筋腫の手術をしたあとの病理組織検査で発見されます。
針生検による子宮肉腫の診断方法は、経膣的に子宮頸部から筋腫や肉腫の中に長い針を刺して組織を採取して行います。国内の一部の施設で行われていて、良い結果が報告されており、障害も少ないようです。ただし、この検査には、いくつか課題があります。子宮筋腫や子宮肉腫の半分以上は多発性であり、1個の腫瘍を検査して調べても、診断は難しいといえます。
すべての腫瘍組織を採取できるかどうかという課題もあります。また、子宮の筋肉には、血管がたくさん集まっています。そこに針を刺して行うわけですから、出血などのリスクを伴います。
今後、この検査方法の研究が更に進んで、一般的な診断方法になれば、素晴らしいことだと思います。臨床現場で普及させていくためには、検査の安全性や精度などを明らかにしていく必要があります。残念ながら、現時点では、この検査は、標準的なものとはなっていませんから、どこの病院でも受けられる検査ではありません。
(2009年01月号 がん相談/子宮肉腫 回答者:関口勲さん 栃木県立がんセンター婦人科医長)
Q:3年前に平滑筋肉腫の手術。今後もし再発したらどんな治療法があるのか
3年ほど前に、子宮肉腫の開腹手術を受けました。子宮、卵巣、卵管を切除しました。病理検査の結果、平滑筋肉腫という子宮肉腫で、病期はステージ1とのことです。手術後、化学療法や放射線療法はしていません。再発した場合、どんな治療方法がありますか。
(高知県:55歳女性)
A:骨盤内局所再発には放射線、骨盤外では化学療法があるが効果は低い
一般的に再発は、手術後1〜2年で起こります。相談者は手術後3年を経過しており、治っている可能性もありますが、5年ぐらいまでは、経過観察をしたほうがよいと思います。
子宮肉腫にはいくつかの種類があり、その中で平滑筋肉腫は、いちばん多い子宮肉腫です。子宮肉腫のステージ1ということですから、肉腫は子宮のみに限局していた、比較的初期のものと考えてよいと思います。ただ、子宮肉腫の場合、肺や肝臓などの血行性転移もありますから、安心はできません。
再発の場合、完治は困難です。放射線療法や化学療法などで症状緩和あるいは延命を図ることになります。骨盤内などの局所治療であれば放射線療法が望ましいと思います。骨盤外の再発では化学療法になりますが、平滑筋肉腫に対する有効な抗がん剤はなく、現在も有効な抗がん剤治療をめざした臨床研究が続けられています。
子宮肉腫は、放射線療法や化学療法の効果は低いといわれています。
(2009年01月号 がん相談/子宮肉腫 回答者:関口勲さん 栃木県立がんセンター婦人科医長)
Q:子宮肉腫の手術で卵巣、卵管、リンパ節の切除の必要は?
職場で下腹部に激痛が走り、出血もあったため、すぐに病院に行きました。子宮筋腫とのことで、日帰り手術を受けました。ところが、手術後の病理検査の結果、子宮肉腫とわかり、開腹手術を提案されています。子宮、卵管、卵巣を切除し、骨盤内と大動脈に沿ったリンパ節を取り除く手術とのことです。卵巣を切除すると手術後にホルモンバランスが崩れたり、リンパ節を取り除くとリンパ浮腫などに悩まされるようです。卵巣や、リンパ節は切除しなければならないのでしょうか。負担のかからない手術方法を選びたいと思います。
(福井県:44歳女性)
A:卵巣、リンパ節への転移は少なく、必ずしも切除の必要はない
子宮筋腫はいろいろな場所にできます。相談者は、有茎性筋腫というタイプで、おそらく子宮の出口から子宮が出てくる筋腫分娩を、手術で膣の側からもぎとるような形で切除したのでしょう。この手術は、日帰り手術も可能です。そして、子宮筋腫の疑いで切除したら、子宮肉腫だったということなのだと思います。
子宮肉腫の基本術式は、子宮全摘、両側付属器(卵巣・卵管など)切除術です。しかしながら、矛盾するようないい方ですが、子宮肉腫では、卵巣を必ずとらなければならないということではありません。
子宮肉腫の再発率や5年生存率は、卵巣を切除した場合と卵巣を残した場合とでは治療成績に差はあまりみられず、卵巣を切除すれば、生存率が向上するわけではありません。子宮肉腫が卵巣に再発することはほとんどないのです。
子宮肉腫は、子宮摘出術後に初めてわかることが多く、卵巣を切除していないことも当然あります。閉経前で、子宮切除時に子宮と卵巣との距離が十分にあり、子宮と卵巣をつなぐ卵巣固有靭帯を余裕を持って切除できる状況であれば、卵巣は残してもよいと思います。
また、リンパ節の切除も意見の分かれるところです。
一般的に子宮肉腫は、子宮頸がんや子宮体がんなどの上皮性のがんとは違い、リンパ節転移は低いといわれ、子宮肉腫の場合、リンパ節転移よりも肺や肝臓などへの血行性転移のほうが多いといわれています。
CT、MRIなどによるリンパ節転移の疑いや、手術中に腫大したリンパ節が発見された場合は、それらのリンパ節の生検が望ましいですが、リンパ節転移を疑う所見がなければ、リンパ節を切除する必要はないでしょう。
相談者は44歳で、子宮筋腫の切除後に子宮肉腫がわかったとのことですから、卵巣の温存は可能です。リンパ節の切除も不要かと思います。
術後の病理検査で肉腫ではなく、がん肉腫という診断がなされることがあります。がん肉腫は肉腫の成分に加え、上皮性の腺がんなどのがんの成分が含まれます。がんならリンパ行性転移が多いため、リンパ節を切除したほうが望ましいと思います。がん肉腫の可能性がある場合には、リンパ節の手術もしたほうがよいと思います。
(2009年01月号 がん相談/子宮肉腫 回答者:関口勲さん 栃木県立がんセンター婦人科医長)