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急性リンパ性白血病(ALL): 治療 Q&A

薄井紀子さん 回答者:薄井紀子さん
東京慈恵会医科大学付属第3病院
腫瘍・血液内科診療部長
小林武さん
回答者:小林武さん
都立駒込病院
血液内科医師
井関徹さん
回答者:井関徹さん
東京大学医科学研究所
付属病院輸血部講師
秋山秀樹さん
回答者:秋山秀樹さん
東京都立駒込病院内科医長

Q:急性リンパ性白血病で、抗がん剤治療中。妊娠・出産は可能か

31歳の妻のことでご相談します。妻は急性リンパ性白血病と診断され、現在、化学療法を受けています。「治療は順調」と主治医に言われ、安心していますが、今後の妻の妊娠・出産のことが心配です。私たち夫婦は子供を望んでいます。化学療法によって、妊娠・出産などに悪影響が出ることはありますか。

(新潟県:男性34歳)

A:卵子の冷凍保存という方法も

急性リンパ性白血病の治療では、大量の抗がん剤を使用します。とくに35歳以下の方の場合は、かなり強力な化学療法を行わないと、治療効果が出にくい傾向があります。「治療は順調」であることは何よりですが、おそらく大量の抗がん剤を使用しているでしょう。

白血病に使う抗がん剤は、卵巣にも大きな負担を与えます。加えて、妊娠すると、免疫寛容状態(ごく簡単に言うと、免疫機能が落ちること)になります。そのため、妊娠すると、白血病を再発する患者さんが少なくありません。また、出産された場合、化学療法によって、障害などを持ったお子さんが生まれる可能性も高まります。

白血病の患者さんを多く診ている血液腫瘍内科の医師としては、ご本人の治療を最優先することを勧めます。どうしてもお子さんを希望される場合は、卵子の冷凍保存をしている医院などに相談する方法もあります。

(2009年09月号 がん相談/血液がん 回答者:薄井紀子さん 東京慈恵会医科大学付属第3病院腫瘍・血液内科診療部長)

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Q:脳に放射線をかける予定だが、不安

貧血の症状があって、血液検査を受けたところ、急性リンパ性白血病と診断されました。

治療は今後、化学療法と脳への放射線療法を行うと言われています。後者は予防のために行うと説明されましたが、脳に放射線をかけることに不安があります。この放射線療法は受けたほうがよいのでしょうか。受けた場合、どのような副作用が起こることがあるでしょうか。

(愛媛県:男性45歳)

A:全脳照射は通常なく、髄注が行われる

ご相談者のような状態の患者さんに、予防的に脳に放射線をかけることは、現在では通常行いません。脳に白血病が認められ、その治療のために行うことはあります。もしかしたら、医師の説明を何か勘違いされているのかもしれません。主治医にもう1度、確認されてみてはいかがでしょうか。

ただ、リンパ性の白血病は脳に浸潤しやすいため、何らかの対策は講じなければいけません。そのため、脳に浸潤が認められなくても予防的に髄腔内注入(髄注)が行われます。

髄注とは、脳脊髄液(髄液)に抗がん剤を注入する治療で、髄液とは、脳脊髄のくも膜や脳室内などを満たしている液体です。

リンパ性白血病に対して、髄注は必須の治療で、多くの場合、全身の化学療法を行うときに、同時に行います。

また、髄注は通常、1度だけでなく、何度も行います。

髄注を行うことで、リンパ性白血病が脳に浸潤することを防ぐ効果が期待できます。

(2009年04月号 がん相談/血液がん 回答者:小林武さん 都立駒込病院血液内科医師)

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Q:移植方法の選択、その可能性とリスクは?

43歳の夫がフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性球白血病と診断されました。医師からは、移植以外の選択肢はないと言われましたが、骨髄バンクでドナー(提供者)を探す時間的余裕がありません。割に体格が大きいため、臍帯血移植にも不安があります。臍帯血移植も含め、その他の移植方法についてはどの程度の可能性、またはリスクがあるのでしょうか。

(静岡県:39歳女性)

A

フィラデルフィア染色体陽性白血病は、急性リンパ球性白血病の中でも特に治療が難しく、化学療法で治癒が得られる可能性は極めて小さいのが現状です。造血細胞移植の成績も決して良好とはいえず、よい状態(第一寛解期)で移植しても、治癒率は5割に達しません。

第一寛解期以外での移植の成功率は極めて低く、その原因の大部分は移植後の再発にあります。そのため、治癒を望むなら、第一寛解期に移植をすべきです。

ただ第一寛解のどの時点で移植を行うかべきかはいろいろな要素があって、簡単には決定できません。ある程度、化学療法を継続することで、より状態の良い寛解が維持できる場合があるので、移植は必ずしも寛解を得られたらすぐに行わなければいけないとも限らないのです。とはいえ、このことを予測することは困難なので、寛解が得られたら、化学療法を継続しながら、できるだけ早期に移植の準備を進めていくべきでしょう。

移植のドナーと骨髄や末梢血などの細胞ソースに関しては、まず血縁者でできるだけ広い範囲で探すべきです。血縁者とは、この場合、いとこまで、すなわち4親等内と考えて良いと思います。フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ球性白血病の場合、HLAが1抗原不一致以内で移植可能な血縁者のドナーが得られれば、それを用いて移植すべきでしょう。HLAとは、移植のときに相性を示す白血球の型のことです。また、1抗原不一致以内とは、HLAがすべて一致しているか、1抗原だけ不一致のことをいいます。

骨髄バンクを介した非血縁者間移植に関しても、あきらめずに話を進めて下さい。非血縁者のドナーからは、最終的には、移植しなかったり、できなかったりする可能性はありますが、悩んでいる間に時間がどんどんたつので、非血縁者のドナーも探しておくべきです。ただし、経済的負担はあるし、それがまったく無駄になってしまう可能性はご承知おき下さい。

血縁者と骨髄バンクにドナーが見いだせない場合や、骨髄バンクのコーディネートを待てない病状(この見極めは難しい)となれば、臍帯血移植を考慮します。ただし、成人の臍帯血移植に関しては、データが乏しく、これまで報告されてきた成績の多くは必ずしも良好ではありません。特に、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ球性白血病に関しては、良好な成績は報告されていなく、多分に実験的な医療になります。

移植に適した臍帯血が手に入るかどうかは、悩んでいても始まりません。体重とHLAをもとに、すぐにインターネット で調べるべきでしょう。専門的な話になりますが、一般的には、HLA2座不一致以内で、体重あたりの細胞数2×10E7(2×107)以上のものであれば移植可能といわれています。

(2004年06月号 がん相談/白血病 回答者:井関徹さん 東京大学医科学研究所付属病院輸血部講師)

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Q:HLAが不一致の場合のリスクと治療の可能性は?

急性リンパ性白血病と診断され、化学療法を受け続けていましたが、寛解に至りませんでした。そのため、骨髄移植も考えると主治医に言われました。

しかし、血縁者に適合者がいなく、骨髄バンクで探してもフルマッチのドナーは見つかりませんでした。そこで、HLAが一座不一致のドナーを探すことになったのですが、もし見つかった場合でも、かなり危険を伴う移植になるようです。HLA不一致の移植のリスクと可能性について教えて下さい。

(山口県:43歳男性)

A:不一致の場所と程度をまず確認。生着不全などが起こることも

HLAというのは、移植において、患者さんとドナーの相性を示す白血球の型のことです。

HLA不一致の移植のリスクや可能性は、白血病の種類やHLAの不一致の場所と程度によって変わってきます。

以上の3点がわかれば、それぞれの場合についてのデータを調べることができます。それは、財団法人骨髄移植推進財団データ・試料管理委員会が発表している「日本骨髄バンクを介した非血縁者間骨髄移植の成績報告書」に掲載されています。

この報告書は主治医がお持ちのはずなので、これをもとにインフォームド・コンセント(説明と同意)を十分に行って、判断されることを勧めます。

「HLA不一致の移植のリスク」については、HLAが一致している場合に比べ、高くなるのは確かです。

具体的には、生着不全が起こる危険性が高まります。生着とはドナーから移植した造血幹細胞が患者さんの骨髄の中に入り込んで、新たな血液細胞を作り始めることです。生着不全はこれがうまくいかないことです。

また、GVHD(移植片対宿主病)が起こることもあります。

これは、患者さんの体内で増えたドナーのリンパ球が患者さんの体の組織を敵と見なして攻撃することで起こります。皮膚や消化器、肝臓などが障害されて、皮疹や下痢、黄疸などの症状が現れます。

生着不全もGVHDも、命にかかわる重篤な合併症です。

HLAの一座不一致のドナーを探すには、それ相応の手続きが必要になります。そして移植を決定する前に、最初にお話ししたように、HLAの不一致の場所と程度を主治医に確認することをお勧めします。

(2004年11月号 がん相談/白血病 回答者:秋山秀樹さん 東京都立駒込病院内科医長)

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Q:骨髄移植後に再発。非寛解のまま再移植を検討。問題ないか?

43歳の次男のことで相談します。以前、急性リンパ性白血病で骨髄移植を受けましたが、再発しました。ドナー(提供者)になったのは、45歳の長男です。再度入院し、抗がん剤治療を受けましたが、寛解には至りませんでした。

主治医には、臍帯血で再移植することを検討していると言われました。しかし、非寛解での移植はリスクが非常に高いと聞きますし、主治医からは、再々発の可能性が高くなると言われています。それでも移植を受けるほうがよいのでしょうか。

(神奈川県:72歳男性)

A:非寛解での再移植は危険。治療成績も悪い

造血幹細胞移植には現在、「骨髄移植」「末梢血幹細胞移植」「臍帯血幹細胞移植」の3種類があります。このうち、赤ちゃんのへその緒の血液に含まれる造血幹細胞を移植する方法が臍帯血幹細胞移植で、この方が現在、検討されている移植方法です。

ご相談者がお書きになっているように、非寛解での造血幹細胞移植は大きな危険を伴いますし、治療成績もよくありません。臍帯血幹細胞移植では、なおさらです。再発率も非常に高いのが現状です。非寛解での移植の治療成績は、息子さんのように2回目の移植ではなく、初めての移植であっても芳しくありません。

こうした現状を考慮した上で、それでも移植を受けたほうがよいかどうかは、正直なところ、難しい選択です。選択肢の1つとしては、抗がん剤治療によって寛解をめざし、寛解に至った後に造血幹細胞移植を受けるという方法もあります。

造血幹細胞移植の方法には、たとえばご長男にもう1度ご協力いただき、骨髄移植ないしは末梢血幹細胞移植を受けることも考えられます。あるいは、骨髄バンクでドナーを探す方法もあるでしょう。臍帯血を用いて再移植を行った場合の治療成績は、まだほとんど明らかになっていないので、あまりお勧めできません。

(2006年01月号 がん相談/白血病 回答者:秋山秀樹さん 東京都立駒込病院血液内科医長)

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